はじめに
Google Analytics 4 (GA4) のデータを、AIに日本語で質問して分析結果を得られたら便利だと思いませんか。
今回は、WindowsでGA4 MCPサーバーをローカル構築し、WindsurfやClaude DesktopなどのMCP対応エディターでGA4データをAIに質問できる環境を作る方法をご紹介します。手順通りに進めれば、コードを書かなくてもGA4データをAIに質問できる環境が完成します!
Windows環境での注意点
MacやLinux環境では比較的スムーズに設定できるMCPサーバーですが、Windowsではパスの区切り文字や環境変数の設定方法が異なるため、そのままの設定では動作しないことがあります。本記事ではWindows特有の設定方法を詳しく解説します。
:::。
想定読者
- GA4を使っているWebサイト運営者・マーケター
- データ分析をもっと効率化したい方
- AIツールに興味がある方
- Windows環境で作業している方
前提知識 / 必要環境
システム要件
- OS: Windows 11(Windows 10でも動作可能)
- Python: 3.10以上
- MCP対応エディター: Windsurf、Claude Desktop、VS Codeなど
- GA4プロパティ: データが蓄積されているGA4プロパティ
事前準備が必要なもの
- Google Cloudプロジェクト
- GA4プロパティへのアクセス権限
- MCP対応エディターのインストール
構成概要とメリット
システム構成
MCP対応エディター(Windsurf/Claude Desktop)
↕ (MCPプロトコル)
ローカルGA4 MCPサーバー
↕ (GA4 Data API)
Google Analytics 4
実装手順
Step 1: Google Cloud環境の準備
1-1. Google Cloudプロジェクトの作成
- Google Cloud Consoleにアクセス
- 新規プロジェクトを作成(例:「GA4-MCPテスト」)
- 作成したプロジェクトを選択
1-2. GA4 Data APIの有効化
- Cloud Consoleで「APIとサービス > ライブラリ」を選択
- 「Google Analytics Data API」を検索
- APIを有効化
1-3. サービスアカウントの作成
- 「APIとサービス > 認証情報」を選択
- 「認証情報を作成 > サービス アカウント」をクリック
- 適当な名前(例:「ga4-mcp-server」)で作成
- ロール選択はスキップして完了
1-4. サービスアカウントキーの生成
- 作成したサービスアカウントの詳細画面を開く
- 「キー」タブから「鍵を追加 > 新しい鍵を作成」
- キータイプは「JSON」を選択
- ダウンロードしたJSONファイルを安全な場所に保存
例: C:\Users\<ユーザー名>\ga4-mcp-key.json
1-5. GA4プロパティへの権限付与
- ダウンロードしたJSONファイルを開き、
client_email
をコピー - GA4管理画面で対象プロパティを選択
- 「管理 > プロパティのアクセス管理」を選択
- 「+(ユーザーを追加)」からサービスアカウントのメールアドレスを「閲覧者」権限で追加
1-6. GA4プロパティIDの確認
GA4管理画面の「プロパティの詳細」から数字のプロパティID(例:123456789)をメモしておきます。
重要: 「G-XXXX…」で始まる測定IDではなく、数字のプロパティIDを使用してください。 :::。
Step 2: MCPサーバーのインストール
pip install google-analytics-mcp
Step 3: 環境変数の設定
方法A: 一時的な設定(コマンドプロンプト)
set GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS=C:\Users\<ユーザー名>\ga4-mcp-key.json
set GA4_PROPERTY_ID=123456789
方法B: MCPクライアント設定ファイル(推奨)
Windsurfの場合
C:\Users\<ユーザー名>\.codeium\windsurf\mcp_config.json
を作成します。
{
"mcpServers": {
"ga4-analytics": {
"command": "python",
"args": ["-m", "ga4_mcp_server"],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "C:\\Users\\<ユーザー名>\\ga4-mcp-key.json",
"GA4_PROPERTY_ID": "123456789"
}
}
}
}
Claude Desktopの場合
%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
を編集します。
{
"mcpServers": {
"ga4-analytics": {
"command": "python",
"args": ["-m", "ga4_mcp_server"],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "C:\\Users\\<ユーザー名>\\ga4-mcp-key.json",
"GA4_PROPERTY_ID": "123456789"
}
}
}
}
:::message alert 注意: Windowsではバックスラッシュをエスケープしてください。 :::。
Step 4: MCPクライアントのセットアップ
4-1. Windsurfの場合
- Windsurfを再起動して設定を読み込み
- チャットウィンドウで「@ga4-analytics」と入力してMCPサーバーが認識されるか確認
- 認識されていれば設定完了
4-2. Claude Desktopの場合
- Claude Desktopを再起動
- 設定メニューからMCPサーバーが認識されているか確認
- チャットでGA4関連の質問をして動作確認
4-3. VS Codeの場合
- ワークスペースルートに
.vscode/mcp.json
を作成 - 上記と同様のMCPサーバー設定を追加
- Copilot ChatでGA4データについて質問
GA4データを日本語で問い合わせる
基本的な使い方
MCP対応エディターのチャット機能を使って日本語で質問するだけです!
Windsurfの場合
昨日のユーザー数はどれくらいですか? @ga4-analytics
Claude Desktopの場合
GA4の昨日のユーザー数を教えてください
初回実行時はMCPサーバーとの接続確認の画面が表示される場合があります。
質問例
基本的な指標
> 昨日のユーザー数は何人ですか?
> 直近7日間のページビュー数を教えて
> 今月の新規ユーザー数は先月と比べて増えましたか?
詳細分析
> ユーザーの国別セッション数を教えてください
> 直近30日間の人気ページトップ5は?
> モバイルとデスクトップのユーザー数の比較を見せて
期間指定
> 2025年7月1日から7月31日までの売上を教えて
> 先週と今週でコンバージョン数に差はありますか?
質問を成功させるコツ
具体的に質問する
「ユーザー数を教えて」より「昨日のユーザー数は何人ですか?」の方が効果的です。
期間を明示する
「昨日」「先週」「直近30日」など期間を指定しましょう。
段階的に質問する
一度に複数のことを聞くより、1つずつ順に質問します。
専門用語も使える
「直帰率」「セッション」「コンバージョン」など日本語でOKです。
ポイント & 注意
ハマりどころと対処法
よくあるエラー
「No module named ga4_mcp_server」
# ユーザーモードで再インストール
pip install --user google-analytics-mcp
「executable file not found」
- 設定JSONの
"command"
を"python3"
から"python"
に変更 - またはPython実行ファイルのフルパスを指定
認証エラー
- JSONキーのパスを再確認
- サービスアカウントの権限を再確認
- プロパティIDが数字のみか確認
「MCPサーバーが認識されない」
- 設定ファイルのパスを再確認
- エディターを再起動して設定を読み込み直し
- JSONファイルの構文エラーがないか確認
ベストプラクティス
セキュリティ
- サービスアカウントJSONファイルは安全な場所に保存
- 不要になったキーは削除
パフォーマンス
- 大量データの取得時は期間を区切る
- API制限に注意(1日1000リクエスト)
運用
- 定期的にGemini CLIとMCPサーバーを更新
- エラーログを確認して問題を早期発見
まとめ
今回は、WindowsでGA4 MCPサーバーをローカル構築し、GA4データをAIに日本語で質問できる環境を構築しました。
学んだこと
- MCPプロトコルを使ったAIとデータソースの連携
- Google Cloud APIの認証設定
- ローカル環境でのセキュアなデータ分析環境構築
構築できた環境の価値
- 効率化: 複雑なGA4画面を操作せずに日本語で質問
- 安全性: データが外部に送信されないローカル環境
- コスト: 基本無料で運用可能
- 拡張性: 他のMCPサーバーとの組み合わせも可能
次のステップ
ぜひ実際にGA4データをAIに質問してみてください。
試してみたいこと
- 定期レポートの自動化
- 他のMCPサーバー(GitHub、Slack等)との組み合わせ
- カスタムダッシュボードの作成
参考リンク